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水と生命生命とは何か? 13 中国での生命観
第三節 『中国での生命観』
中国には、紀元前6~5世紀から老子や荘子によって「気の思想」が主張されている。「気の思想」をなくして、中国思想を語れない。私が、仕事としている鍼灸も「気の思想」が前提としてあり、『黄帝内経』(紀元前202年の前漢代の頃から編纂され始めたと考えられている、前漢から後漢にかけて形作られたもの)を中心として理論がなされている。
この「気の思想」と、中国古典の中で最も多く注釈書が作られてきたという『老子』を中心に中国の生命観をみていく。また、儒教にて人生観などを少し捉えてみたい。
1) 気の思想からみる生命観
「気の思想」を簡単にいうと、すべては「気」からできているという考えである。たとえば、人の生命の場合、「気」によって生みだされ「気」によって維持されているというものである。
『荘子』知北遊篇
「生や死の徒、死や生の始め、たれかその紀を知らん。人の生や、気の聚まれるなり。聚まらばすなわち生と為り、散れずればすなわち死と為る。もし死生を徒と為さば、吾また何をか患えん。ゆえに万物は一なり」
『管子』枢言十二
「気有らばすなわち生じ、気無くばすなわち死す。生ずるとはその気を以てす」(27)
これは、気がどのようになるかで生死が変化するものであり、天と地と人は一体であり、天地もまた「気」で構成されているということである。