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水と生命生命とは何か? 14 道教『老子』からみる生命観
1) 道教『老子』からみる生命観
『老子』については、著者も成立時期もはっきりしていないが、中国の言い伝えによると、老子という古代中国の哲学(紀元前6世紀の人物とされる)が、書物『老子』を書いたとされる。一方では、神話上の人物とする説、複数の歴史上の人物を統合させたという説などもある。しかし、道教創案の中心人物として、神格化され崇拝され、『老子』の著者を神格化した「太上老君」や老子が説く「道」を神格化した「太上道君」などの神名を持つ。『老子』では「道」を説く。
『老子』第二十五章「混沌としたものが、天地が存在する前に生まれた。ひっそりとして何も見えない。何事にも頼ることなく、変化することもない。あまねく行きわたって、やむこともない。それじゃ、天下の母というべきものだが、私はその名を知らないので、これを「道」と呼ぶことにしよう」(28)
インド思想の宇宙的な梵(ブラフマン)に近いものがある。道教では、『老子』の思想の発展や人々の願いから、不死に対する思いが強くなっていく。身体に対する強い執着と不老不死の現実化にむけての技法が開発され発展していく。道教では、独特な生命観と身体観を発展させていく。
『老子』第二十五章
「人は地に法り、地は天に法り、天は道に法り、道は自然に法る」(29)
『淮南子』(前漢時代のもの)
「それ精神なる者は、天より受くる所なり。形体なる者は、地より稟くる所なり。……頭の円なるや天に象り、足の方なるや地に象る……」(30)
上記で述べた、「気の思想」もあり、人は天地の気をうけて宇宙の中に生まれたものであり、身体は小宇宙のようなものである。小宇宙(身体)は大宇宙から気をうけ、両者は、「同源・同構造・相互感応」のものと観念されていく。天地が永遠でありうるからには、人も天地に倣い永遠の生存を受けることができるという考えになる。こういった思想をもとに、不老不死を求め、外丹術(不老不死の神仙になるための丹薬を煉成する術)や内丹術(もともと身体にある具わる気や液を身体の中で煉り上げる術、今でいえば気功など)が発展していく。中国人の不老不死に対するあくなき追求が明確に感じられる。