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水と生命生命とは何か? 43 水の電気的性質
1) 水の電気的性質 ~自由水と結合水~
水は分子式では、H2O と書くが、その立体構造は、水素原子(O)を頂点とする二等辺三角形を形づくっている。二つの水素原子(H)は104.5度の角度をもって開いている。(図3)この分子の中における電子の分布をみると、酸素原子は電子を引きつける力が非常に強いので、水素原子のもっている電子を引き込んでしまう。したがって、電子は酸素原子のまわり集まって負に帯電し、反対に水素原子のまわりは正に帯電する。極端に電子の不均等な分布、すなわち荷電の偏りをもっているものは、水以外の液体にはない。(図2)
水という液体では、その分子はお互いに静電的に引き合い(水素結合)、図2のようなネットワーク(網のような構造)をつくりあげている。したがって、コップの水には、H2O 分子が単独で自由に動き回っているものもあるが、多くは隣同士の分子が水素結合によってつながり、ネットワークをつくっている。これらの二つの状態の分子は、高速で入れ替わっているので、水は常に動態にある。このような水の状態を“自由水”と呼んでいる。
もう一つの水の存在状態は、水分子が他の物質と結合している形である。上記のように水分子帯電しているから、水に溶けている他の物質と静電的に結合しやすい。このような水は“結合水”と呼ばれ、自由水と違って自由に行動できない状態にある。したがって、蒸発しにくく凍りにくい。細胞内の水は、大部分は結合水の状態にある。