インフォメーション

水と生命

生命とは何か? 7

プラトン(紀元前427頃~347年頃)は、マケドニア王国 のスタゲイラ で生まれた。ソクラテスの弟子もあり、彼と同じような思想を持つ。『ティマイオス』で、諸物がいかにして存在し、存在するかを語り、人間の三重の性質や霊魂と身体とが、どこで結合しているかなど説明する。「生命の絆となるものが、髄の中に固く縛られているとしている(13)」霊魂と肉体とを区別する二元論的認識論を説いた。
アリストテレス(紀元前384頃~322年頃)は、プラトンの弟子でもあり、「万学の祖」と呼ばれ、アリストテレスの学問体系は、「論理学」をあらゆる学問成果を手に入れるための「道具」(organon)であるとした上で、「理論」(テオリア)、「実践」(プラクシス)、「制作」(ポイエーシス)に三分し、理論学を「自然学」、「形而上学」、実践学を「政治学」、「倫理学」、制作学を「詩学」に分類した。
『形而上学』では、「存在とはなにか」という問題は、帰するところ「実体とはなにか」であると述べ、「実体を単一的な活動性のある質料である(14)」とみなす。実体とは物体の現実性であり、それに対し質料はたんに物体の可能性であるにすぎないと説いた。
『ペリ・プシュケー』で生命についても論じた。自然的物体のうち或るものどもは生命を持ち、或るものどもはそれを持たない。そしてわれわれが生命と言うのは、自分自身の力による栄養摂取、成長、衰弱をするもののことである。霊魂とはからだと分離できないものであることが、明かである。霊魂は形相であるが、同時にまた原因となるものであって、運動を起こさせる力をもつ。もの本質をなす第一原理は運動であり、運動だけが実在的であるとする。そして、アリストテレスは、目的論的自然観を持ち、目的すなわち真実のあるいは明白な善が達成されるように、生物に運動を起させると説く。(15)
『動物運動論』で、温かいということを生命の存在のしるしとして重視し、心臓から諸腱が発し、それらによってからだのあらゆる部分と結ばれることを示す、解剖学的証拠をあげている。
アリストテレス死後、時代はアテナイ(ギリシア文化の中心で大学都市)からアレクサンドレイア(エジプト)へ移っていく。
ヘロフィロス(紀元前335年 – 紀元前280年 )は、アレクサンドリア 医学校を創設したと考えられている。ヘロフィロスは、人体解剖に基づいて理論を組み立てた最初の人物である。脳が神経系 の中枢で、知性の在処だということを突き止めた。そして、「霊魂は脳室に座を占めると考えた(16)」さらに、神経系統にも特別の関心を払い、神経を血管 と、運動神経 を感覚神経 と区別した。古代の科学者たちの中でも、ヘロフィロスは科学的方法 の開祖の一人と考えられている。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
ページトップへ