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水と生命生命とは何か? 44 水の性質3
1) 水は蒸発しにくく冷めにくい
水は、100℃で(1気圧化)で沸騰し、水分子はエネルギーをえて単独でどんどん空気中に気化していく。このとき、水は1gあたり53キロカロリーの熱を奪う。上記でも述べたが、他の例をとってもう一度、水の特性を説く。H2O とよく似た分子H2S(硫化水素)が零下60.7℃で沸騰するのに比べて、水が著しく高い沸点をもっている。分子が互いに単独で飛び出せないように手をつなぎ合っており(水素結合)、水分子の蒸発を妨げ合っている。
水は、たくさんの熱を蓄えることができる。銅や鉄などの金属は、熱するとすぐ熱くなるが、石やセメントの塊は、それほど熱くならない。このように物質によって熱くなりやすさが異なる。この熱くなりやすさの程度を表すために、比熱という量を用いる。比熱の単位として、1gの純水の温度14.5℃から15.5℃まで1℃上げるのに必要な熱量を用い、この熱量を1℃あたり1キロカロリーという単位で表す。たいていの液体は0.5キロカロリー位であり、金属は0.1キロカロリーかそれよりも小さい。したがって、水は比熱の大きな液体であり、他の物質に比べたくさんの熱を蓄えることができる。水の熱容量が大きいので、温度変化が起こりにくい。
水は、熱を含みやすく放出しにくい顕著な性質をもっている。巨大な湯たんぽ(地球の4/5覆う海)を持つ地球は、熱しにくく冷めにくい。地球が他の惑星に比べて、極めて温厚な気候をもっている理由はここにある。また、このような特性が動植物を生かしている。